普段の生活で「妖艶」と印象を持つ女性に出会うことがなかったので、私も初めて浮かんだ感情でした。また、映像で観て勝手にイメージを持つ‘濃いメイクにはだけた服’というような作ったものではないことも驚きであり、きっと姿勢や歩幅、指先や表情など全部の要素が一つになって「妖艶」になるのだと感じました。
「妖艶」って確かに、「濃いメイクにはだけた服」で男性に媚びるような乱れたイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が、「妖艶」と聞いて一番に私が思い出すのが、チャン・ツィイーが出ていた映画
「SAYURI」(2005年)。
不遇な幼少期を送りながら、芸者として学ぶ中で才覚を表すSAYURI。
そのSAYURIが、芸者としてデビューして最初に延(役所広司)へお酌をする姿が、
手の出し方、
添え方、
目線の送り方・・・
まさに「妖艶」で、息を呑んだのを覚えています。
10年前に観たにもかかわらず、私の脳裏に焼きついています。
SAYURIの服装は、首元はキュッと上まで締まり、立っている姿は「かわいい」という雰囲気。
ところが、ひとたび動き始めると、そのかわいらしさ一気に影をひそめ、「妖艶」な大人の女性に変わるのです。
しぐさ一つで、こんなにも艶っぽさが加わり、なまめいて美しく変われるものなのかと感じた瞬間でした。
「妖艶」というのは、静止している状態ではなくて「動いているとき」にそう感じさせるのではないでしょうか。
扇子を動かすとき、要を指先で操ると、女性らしく見せることができます。
さらに、どんな扇子でもこの動かし方一つで、花に止まっている優美な蝶のようにしなやかに見せられるのです。
レッスンでも小物使いで「SAYURI」的「妖艶な動き」を練習してみましょう。